2007年5月26日 ~ 7月16日
全13回
ROMANTIC+GUROTESQUE
劇作 倉垣吉宏
演出 SAI
音楽 Cuu-

出演
本田 良
倉垣 吉宏
ヒグチ ナオコ

【衝動みたいんなもんですね】

―まず演じられる役…「三千七百五十六町目四番地の望」についてお聞かせいただけますか?

本田 はい。

―すごい名前ですが、一体、どんな役なんでしょうか?

本田   ええーっと…そうですねぇ………なんでしょう、そうですね…最初は生命力ですね。
現代って色々あるじゃないですか?鬱とか、疲れたとか、眠いとか、しんどいとか、
嫌だとか、うざいだとか、だるいとか……社会は病んでるとか。
そういうのから逸脱した奴ですね。飛んでいってしまったというか。

―…では、その、生命力に溢れた彼を通して、何を伝えたいとお考えですか?

本田  ええぇ(笑)テーマですか…?ええぇー…………。
うおっ、インタビュー、恐っ。(一同爆笑)
なんでしょう。最初は、いっぱいあったんですけど。
それこそその時ならベラベラ話せたんですけど…今は…。

―テーマなんて要らない!みたいな感じですか?

本田   いや、そういうわけじゃなくて。
要するに、テーマは結果としてお客様が受け止めた物じゃないですか?
だからそのために演じるというよりかは……それよりも、あそこをどう演じるかとか、
どう楽しむかみたいな、こうしたらもっと面白くなるぞ、とか。
そーいったとこに意識が傾いてますね。ほんと、テーマとかどんどん意識しなくなってきてる(笑)

―楽しんで演じている自分を観てもらいたい、と?

本田   もちろんそれは。

―今回は二度目の主演ですが、プレッシャーはありますか?

本田   そりゃ………ねぇ?(同室のヒグチに振る)
「PARADE」のスサノオん時はすっごい気楽でしたよ。
でも今回は、コーシーともスサノオともちゃいますね…ちゃいますよ。
なんでしょうか。前までは、稽古で緊張してたんですよ。基本、ダメ出し待ちやったし。
でも最近、それが変わってきて……今日はこんだけやったからまあいいか!みたいなね(笑)
自分でもダメやったとこ分かるんすよ。あーきっとダメ出し入るなぁココ、とか。
いい意味で開き直るというんかな。それが大事だと思ってきて。
それで演じてる時の自分が見えるためには、緊張が一番邪魔なんですよ、結局。
せやから今回は本番でもリラックスが自分の演技テーマですねぇ。

―なるほど。今作の見所のひとつでもある、超長台詞に関してお聞きしたいんですが。
作品の約半分を占める程のあの台詞に、どのように挑んでいるんですか?

本田   ん―…………世の中にはもっと長い台詞があるぞと思ってやってます(笑)
まぁ…なんすかね。例えば台詞のメリハリとか。
こう盛り上がれば、ここは落とすとか。音楽で言うAメロ、Bメロ、サビであったりとか。
もちろん考えはするんですけど、これだけ長いと通用しないんですよね。
むしろ重要なのは、その時その時の感情……衝動みたいなもんですね。
言いたいから、どんどん話すとか。その衝動をとても大切にしています。
あんまり考え過ぎるとダメなんですよ。何してるかわからんくなる。
だから、こいつは凄い喋りたがりなんだと思って演じる事、そう心掛けてます。

―楽しみですね。これ、インタビュー読んでから観た人は「超長台詞あるんだ!」と思う
わけだし、観てから読む人は「なるほど~」と思えるわけですよね。そこがまた面白いと思います。
最後に、明日からのツアーを観に来られる人たちへ。

本田   14回あるわけですよ。毎回場所が違って、毎回違う出会いがある。
当然雨の日とかもあるでしょうし、最初と最後では全く別の作品になっていると思います。
結局何が言いたいかと言うと……………いっぱい観に来て下さいって事です(笑)

―はい、本日はありがとうございました!

【手垢のついた言葉でいい。通俗的な、ポピュラーな作品になればいい】

―まず、作品についてお伺いします。どのような経緯で今作は書かれたのですか?

倉垣  色々あるんですけど……まあ簡潔に言えば、上京してから感じた事そのままですね。

―なるほど。とてもシンプルな答えですね(笑)

倉垣   いやぁ…今しか書けないな、と。これ以上関東に馴染んでも書けなくなるしね。
ほんとに今だけ。

―今作は内容的に、役者としての比率が大きいですね?実際、書き手と演じ手で大きく意識が違う事ってありますか?

倉垣   ありますよ。

―具体的には一体……?

倉垣   今作は、本のクオリティを上げたかった。だからその点ですごく頑張ったのね。
本のクオリティを上げるってのは、読んだだけで面白い本を目指すって事だったんだけど、
いざ完成した本を役者として取り組むと「おい待てよ」となるわけですよ。
話し言葉に合わない単語とか、声に出して初めて気付くパターンもあって。こりゃいかんな、と思ったわけです。
作家のエゴで出した言葉が多過ぎると感じたんです。
生粋の役者なら、それでも無理矢理落とし込むんでしょうけど、
さすがに自分で書いた作品でまでそれする必要あんのかな?と。

―作家のエゴですか。

倉垣  正直、伝わるかどうかが大事なので、インテリを披露してます!
みたいな言葉や単語は要らないと思うんすよ。文学は紙上の芸術を心で吟ずる。しかし演劇は五体で心を揺さぶる。
言葉は、鉄砲玉みたいなもんですからね。お客様の心に届き、撃たなきゃ意味がない。
稽古する度、台詞は変えていってますよ。もちろん自分だけでなく皆。全体的に、ね。
だから、手垢のついた言葉だらけになってもいいので通俗的な、ポピュラーな作品になればいいなと思います。

―前作とはほんとに真逆ですね。

倉垣   ですね。前は、文学表現を多くして、言葉の裏側に流れる感情を強く打ち出すのが目論見でしたから。

―次回作は、もう考えているんですか?

倉垣   話のネタはストックしてますよ(笑)
それに、現代社会はインスピレーションの宝庫ですから………世界は病んでますよ、ほんとに。

―具体的な内容は?

倉垣   いやいや(笑)その前にロマグロの話でしょ!
これが終らない事には、次は見えて来ないですよ。次の地平に立ったら、そん時はじめて考えます。

【だからこそ、情熱ですよ】

―前作「PARADE」では天皇家の末裔という難役アイを演じ、今回は演劇ジャーナリストの
蟹沢海老菜と全く接点のない、極端な役柄が続いていますが、どうですか?

ヒグチ  うーん……そんなに意識してないですね。アイを演じて、エレクトラ(※1)をやって、
それからカニエビだから。極端とかあまり思いませんねぇ…。

―古典をやられた事で収穫はありましたか?

ヒグチ  戯曲の取り組み方が変わりました。幅が広がりましたね…………
広い視野を持ち演じる事の重要性を感じました。
まあでも……今回はもっと情熱的に演じる必要がありますね………特に最後。まあ最後。
そこまで2人が演じて作ってきたものをね、こう、ズドーンと。最後で。

―最後…ラストシーンですか?

ヒグチ  それはちょっと言えませんね。

―今回、台詞の量がとても少ないですよね?

ヒグチ  はい。だからこそ、情熱ですよ。一言一言もっと熱くしたいですね。そして最後にズドーンと行く、ね。

―最後はそれだけ見所だと?

ヒグチ  それはちょっと言えませんね。

―(笑)わかりました、では最後に観に来られる皆様へ。

ヒグチ  まぁ……色々詰め込まれてるので、観ると自分と重ねられるとこも多いのではないでしょうか。
たくさんの想いが、最後の最後でズドーンと爆発する、ね。熱い作品ですよ。
まあ、是非、何度でも観に来て下さい!

―本日はありがとうございました!

※1……ギリシャ戯曲のひとつ。愛憎からエレクトラの父親を殺害した実の母に復讐を誓
い、それを実行する過程を描いた悲劇。