2019年3月10日、たった一度きりのステージ
未来へと繋ぐ奇跡の一夜

2018年度最終公演となった「イト2019」のステージが終幕した。
“三日間でつくるワークインプログレス版”と銘打たれたこの舞台は、SAIメンバーの常盤美妃が、「イト」の栃木での再演を願い企画が起こされた。物語の主要人物は、東京にて約2週間のプレ稽古を行い栃木にて現地のキャスト・スタッフと合流、アンサンブルやテクニカルは全て栃木に入ってからの三日間(実質二日)で作られた。

「3.11で何が変わったか。」
あの日、それまでの暮らしが一変したという常盤。
2017年イト上演時は、彼女をはじめ栃木の俳優たちとのディスカッションから戯曲や演出が変化した。地震の影響が強かったのは、宮城・福島・茨城そして栃木である。劇中終盤の印象的な1シーンであるヒカルの「ねえ、ねえねえねえ。」の件は、あの日の再現でもあり、2017当時の座組内で、実際その日に感じたことが反映されているシーンである。

今回は幅広い年齢層のキャストが集まった。
2011年当時の記憶は人それぞれ。今作ではプロジェクトの大きなテーマであった「伝える」という事を大切にし、伝えるための幾つかの手法を共有。それらを踏まえつつ、演じることの楽しさや喜びを全身で表していく「祝祭劇」としての側面も演出されていった。「台本を持ったまま演じる」というスタイルはリーディングや朗読劇を連想させるが、SAIのアクティブ・リーディングはその想像を裏切る程よく動く。イトは極めて演劇的な表現が多く、場面転換や人物の入れ替え等は装置をほとんど使わず、演技演出のみで行う。観客の想像力に働きかけるつくりは初演から変わらない。この日も13名のキャストにより、2019年から2119年までの幅広い時間旅行を行った。

このプロジェクトはまだ終わりではなく、これから上演&ドキュメンタリーDVDの製作へと入っていく。まずは当日の舞台の記録を、美麗な舞台スチルと共に一部紹介する。


photo by
かとうはるひ
TANAKA MASAYUKI



少年ヒカル(網戸光)・・・常盤美妃(舞台芸術創造機関SAI)

 


少女セカイ(SEKAI)・・・大島朋恵(りくろあれ)



少年クラゲ(釣舟海月)・・・小林機械

 


オトウサン/父・・・こもだまり(昭和精吾事務所)
オカアサン/母・・・倉垣吉宏(舞台芸術創造機関SAI)

 


渋谷翼・・・渋谷翼(舞台芸術創造機関SAI)

 


2119年の学生たち。
左より順に
イン・・・橋本栖実(ニノマルプロジェクト)
タイ・・・吉成容平(ニノマルプロジェクト)
ブン・・・丸井裕也(ニノマルプロジェクト)
アミノト先生・・・三國谷花(舞台芸術創造機関SAI)
バン・・・奈良貴大
ガル・・・阿久津奈愛
ヲタ・・・今井悠莉